火災時に活躍するドローンの役割とは〜人命救助や今後の未来
2021年2月21日、栃木県足利市にて大規模な山火事が発生したのは最近のこと。
日本では乾燥する季節に、焚火やタバコなどが原因で山に火が燃え移り、山火事に発展することも珍しくありません。
そんな時にドローンを活用して鎮火する方法に注目が集まっています。
素早く、的確に鎮火が可能

日本では山火事が発生すると消防隊がすぐに駆け付けます。
しかしどんなに迅速に駆け付けても山は広大であり、乾燥時期ともなれば火災規模の広がる速度も倍速で進んでしまいます。
火災は火元を鎮火しなければ消化は一時的であり、再び火は燃え上がるのです。
火元の特定は目視で行う以上、非常に困難ですがここで活躍が期待されているのがドローンです。
現在注目されているドローンによる火災鎮火は、高性能カメラを搭載したドローンがサーモグラフィーを使い、火元を素早く特定、ピンポイントで鎮火を行うことが可能なため、火災を最小限に抑え、スピーディーな鎮火が可能になります。
空から見えるため、拡大被害を事前に防ぐ

ドローンを使った火災の鎮火は火元を断定するだけではありません。
地上から全体を見渡せることで、風の流れ、次に燃え移る箇所を予測し、火災の拡大被害を抑える抑止効果にも期待されています。
現在の消火活動では火元の大きい箇所に水を散布し、周囲に燃え移らないよう水を撒いていますが、ドローンを使うことで先の一手を打つことが可能です。
鎮火後、上空から火元を断定

火災が起きた際、消防隊は火災の原因となった火元調査を必ず行います。
この作業も現在の消火活動ではレスキュー隊が目視で調査、確認を行いますがドローンを使えば鎮火後の現場を上空から撮影することが可能です。
そのため山火事など大規模な火災の場合、出火場所の特定、人員の削減などにも繋がり非常に効率的です。
実際に島根県の消防隊が火災における火元調査や土砂崩れの危険性からドローンを出動させ実用化されていることから、今後災害におけるドローンの活用はますます需要が高まりそうです。
消防ドローン、活用進む 火災現場や不明者捜索に出動:朝日新聞デジタル
一般人が消防区域内で飛ばすことは禁止
上記で紹介したように、消防隊がドローンを使った消火活動をすることで、迅速かつ確実に鎮火を行うことができます。
しかしこのような災害時には緊急でドローンの禁止区域に指定されることが多く、定められた人しかドローンを飛行させることができません。
冒頭で話した、栃木県足利の山火事が起きた際、消火活動などに使われることのない一般のドローンが飛行し、消火活動の妨げになったことで消火活動が中断される事件に発展しています。
これによって、国土交通省が航空法を見直し、「救助や消火活動などを行う空域を緊急用務空域に指定」に改正、2021年5月から緊急用務空域にて操縦を行う場合、操縦者へ飛行前の確認が義務付けられました。
緊急用務空域では、トイドローンなど200g以下の飛行なども申請が必要となります。
今後の火災でドローンは使われるのか?

本記事で紹介したように、大規模な火災におけるドローン使用は非常に有効かつ効率化を図ることが可能なのです。
既に日本国内でも静岡県焼津市が全国初のドローンチームを結成しており、一斉放水などを公開されています。
より迅速にドローンが被害場所へ飛行、着陸できるようドローンの離陸専用車両もチームに導入され、災害時などスピーディーに対策できるよう取り組みが進められ日々成長しています。
アメリカやヨーロッパでは既にドローンを使った消火活動が本格的に導入されており、独自消化方法「IGNIS 2.0」を使って実際に鎮火に成功しています。
注目されているドローンの鎮火法「IGNIS 2.0」とは!?
DJI社製のドローンに「Dragon Eggs」と呼ばれる小型ボールサイズの焼夷弾を乗せ、バックファイヤーで鎮火する方法。4分間で最大450個投下し延焼を食い止めるというドローンを活用した鎮火方法です。
日本国内でも災害に関してドローンを活用し始めており、海外では本格的に鎮火活動に使われています。
日本でも少しずつ需要が高まり、大規模な火災が拡大する前に鎮火する方法としてドローン導入が増えていくのではないでしょうか。
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